模試の成績表が返ってくると、まず総合点と判定に目が行きます。そこだけ見ていると、落ちる原因が見えません。
本試験を3回受けて、2026年度は6社の模試を受けました。そのなかで読み方を間違えていた場所がはっきりしたので、順番にまとめます。
1. 最初に見るのは3つの基準
行政書士試験の合格基準は3つあり、1つでも割れば、ほかが何点でも不合格です。
| 基準 | 満点 | 必要 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 総得点 | 300点 | 180点以上 | 60.0% |
| 法令等科目 | 244点 | 122点以上 | 50.0% |
| 基礎知識科目 | 56点 | 24点以上 | 42.9% |
成績表を開いたら、この3つを3列ならべて埋めるのが先です。総合点から見始めると、残り2つが視界に入りません。
2. 「法令等122点」は、自分で足さないと出てこない
ここがいちばん見落としやすいところです。
法令等科目という欄が無い成績表があります。択一式・多肢選択式・記述式が別々に並んでいるだけで、合計が印刷されていません。
| 法令等244点の内訳 | 配点 |
|---|---|
| 5肢択一式(40問) | 160点 |
| 多肢選択式(3問) | 24点 |
| 記述式(3問) | 60点 |
| 合計 | 244点 |
この3つを足して122点に届いているかを、毎回自分で確認する必要があります。
実例を出します。令和6年度の本試験で総合168点を取ったとき、長いあいだ「合格まであと12点」と思っていました。足し直すと法令等が120点で、基準の122点にも2点足りていませんでした。総合を12点上げて180に乗せても、法令等が届かなければ不合格です。
基礎知識は56点が独立して印刷されるので見落としません。落とすのは法令等のほうです。
3. 偏差値と順位は、集計人数で動く
成績表の偏差値と順位は、その時点で集計された人数で計算されています。自宅受験の回は答案が届くたびに母集団が増えるので、同じ点のまま数字が動きます。
2026年に受けたある模試では、こうなりました。
| 集計人数 | 素点 | 偏差値 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 19人 | 144点 | 37.2 | 17位 |
| 20人 | 144点 | 37.8 | 18位 |
| 44人 | 144点 | 41.7 | 35位 |
| 56人 | 144点 | 42.9 | 42位 |
素点は1点も動いていません。偏差値だけが4.5動きました。順位も18位から35位に下がっていますが、分母が倍になっているので、位置としては上がっています。
母集団が小さいうちは、偏差値と順位を実力として受け取らないほうが安全です。見るのは素点のほうです。
人数が多い回なら話は別です。2,001人の回で1,848位・偏差値35.2なら、これは動きません。何人の中での数字かを、必ず一緒に見ます。
4. 記述式の自己採点は、当てにならない
自宅受験の模試は、記述式が採点されずに返ってくることがあります。自分でつけるしかありません。
その点は、採点者の点とかなり違います。
| どちらがつけたか | 記述式 |
|---|---|
| 自己採点 | 28点 / 60 |
| 自己採点 | 17点 / 60 |
| 採点されて返却 | 12点 / 60 |
自己採点の28点に対して、採点されて返ってきたのは12点でした。16点のずれです。キーワードが入っていれば通ると思っていたところが、通っていませんでした。
対処は単純です。記述式を0点と置いて、残り240点だけで見ます。
| 記述を除いた240点 | 配点 |
|---|---|
| 5肢択一式 | 160点 |
| 多肢選択式 | 24点 |
| 基礎知識 | 56点 |
| 合計 | 240点 |
ここで180点取れば、記述が0点でも総合180点に届き、法令等122点も自動的に超えます。年度や会社をまたいで比べるときも、この分母なら揃います。
5. 設問別正解率は「取りこぼし」を数えるために使う
成績表に設問ごとの正解率が載っていることがあります。全体の何%が正解したか、という数字です。
これは、自分が落とした問題を3つに分けるために使います。
| 全体の正解率 | 意味 | 扱い |
|---|---|---|
| 70%以上 | 周りが取れている問題を落とした | ここを最優先で潰す |
| 30〜70% | 差がつく問題 | 余力があれば |
| 30%未満 | 難問 | 追わない |
ある模試では、落とした問題のうち正解率70%以上が11問・44点ありました。合格ラインまでの不足は36点でしたから、この11問を拾うだけで超えます。難問で落としたのは3問・12点だけでした。
「知識が足りない」と「取りこぼしている」は別です。設問別正解率が無いと、この2つが区別できません。
6. 科目別は、順位ではなく配点で見る
科目別の順位が返ってくると、悪い科目に目が行きます。ただし順位が悪い科目ほど伸ばす価値があるとは限りません。
見るのは配点と、空いている点数です。
| 科目 | 5肢択一の配点 |
|---|---|
| 行政法(19問) | 76点 |
| 民法(9問) | 36点 |
| 憲法(5問) | 20点 |
| 商法・会社法(5問) | 20点 |
| 基礎法学(2問) | 8点 |
基礎法学は0点でも8点しか失いません。満点にしても8点です。順位が最下位でも、動かせる幅がこれだけです。
行政法は76点あります。半分しか取れていなければ、そこに38点が空いています。同じ「順位が悪い」でも、拾える点が10倍違います。
7. 科目の中も、分野で割れる
行政法のように問題数が多い科目は、科目単位で見ても何をすればいいか分かりません。分野まで割ると向きが出ます。
| 行政法19問の内訳 | 出題 | 正解 |
|---|---|---|
| 行政手続法 | 3 | 2 |
| 行政不服審査法 | 2 | 2 |
| 一般的法理論 | 4 | 1 |
| 行政事件訴訟法 | 4 | 0 |
| 国家賠償・損失補償 | 2 | 1 |
| 地方自治法 | 3 | 1 |
| 行政契約 | 1 | 1 |
これは実際の1回分です。条文を引けば決まる科目は取れていて、訴訟と判例で落ちています。「行政法が弱い」でまとめると、取れている手続法・不服審査法まで一緒にやり直すことになります。
読む順番のまとめ
- 3つの基準を3列ならべる。総合180・法令等122・基礎知識24
- 法令等は択一+多肢+記述を自分で足す。印刷されていないことがある
- 偏差値と順位は、何人中かを一緒に見る。人数が増えると同じ点でも動く
- 記述式は0点と置いて240点で見る。自己採点は16点ずれた
- 設問別正解率で、取りこぼし(70%以上)を数える
- 科目は順位ではなく配点で選ぶ。基礎法学は満点でも8点
- 問題数の多い科目は分野まで割る
成績表は、返ってきた直後は合計点と判定しか目に入りません。日をおいて、この順番でもう一度開くと、別のことが書いてあります。
この記事について
- 合格基準(総得点180点以上・法令等122点以上・基礎知識24点以上)と配点は、一般財団法人 行政書士試験研究センターの公表によります。
- 例として挙げた得点・偏差値・順位・設問別正解率は、すべて筆者本人の成績表に記載されたものです。